「異国の丘」

2001年11月1日 演劇
劇団四季の久しぶりの(って私は四季オリジナルを見たのは初めてだったのですがv)ミュージカル、
関東ではテレビでもよくCMやってる

『異国の丘』

見てきました!!

第二次世界大戦末期、日ソ不可侵条約を破って、ソ連が満州を押して数多くの日本人が捕虜として捕らえられた。
戦争が終わり、ソ連は「捕虜を日本へ送り返す」と言って東海岸に集めながら、
人々をシベリア開拓の強制労働者として、
太陽を背にして西へ拉致した・・・
その中に、九重(ここのえ)秀隆もいた。

九重秀隆は日中戦争の開戦期の首相九重菊麿の息子であった。
九重が政権についていた頃、彼はアメリカに政治学、国際関係学を学びに留学していた。
ちょうど盧溝橋事件の起きた頃だった。
恩師の先生に連れられてやってきたバー(?)で、彼はダンスのパートナーとなった女性に一目惚れする。
同じくそのバーのオーナーの招きでやってきた、
蒋介石の姪、宋 愛玲(アイリー)も、
あるゲームでダンスのパートナーとなった男性に惹かれる。
その翌日、イギリス領事館で二人は再会し、互いが敵国の人間だということを知り、許されない恋だと思い知る。
思い知ってなお、二人はその気持ちを捨てきれない。
まもなく日中戦争が始まり、二人はそれぞればらばらに、それぞれの祖国に帰国し、
祖国のために、彼らは日中の和平へ向けて努力するが・・・

シベリアのシーンとアメリカ、日中戦争中の中国のシーンが交互に出てきます。
暗い絶望的なシーンと、少しは明るい希望と情熱のシーン。
でも全般的に暗いです(^^;
戦争の話だからしょうがないんですけどねー
「異国の丘」って、本当にシベリア抑留から還ってきた人が作った曲で、
昔のNHKのど自慢大会とかでも歌われて、はやったのだそうです。
それに、九重秀隆も実在した貴公子で、実名は近衛文隆、実際に首相になった近衛文麿の息子。
これがノンフィクションだとすると、
本当になんだか、「重い」ストーリーでした・・・

途中で遺言が出てくるのですが、それが、すごく切々としていて、そこが一番沁みて、泣けました・・・
この遺言も含めて、あちこちに戦後を生き抜いていく人たちに向けたメッセージのようなものが散りばめられていて、
そのひとつひとつが重かった。

ミュージカルとしては、一つ一つのセリフが硬い口調だったというのが気になりました。
まぁ戦時中ということでわざとなのかも知れないけど、
ちょっとセリフらしく聞こえてしまうかも。
秀隆の声が気持ちのいいテナーでかっこよかった。

ともかくメッセージ性の強いミュージカルで、
楽しむというよりは重いものでした。

・・・だけど、同時に思ったのが、こういう重いものも、現代では簡単に「消費」されてしまうということ。
ただ過ぎ去るのではなくて、私のどこかに沈殿を残したいと思います。

コメント