シンデレラ再考

2002年8月23日 読書
『さよなら、「いい子」の魔法』(ゲイル・カーソン・レヴィン/サンマーク出版)
これはシンデレラのお話のパロディ。
(おもしろかったです。最後は感動したし!)

それから、18日に観劇してきました。
ミュージカル『シンデレラ』
(元タカラジェンヌと現役タカラジェンヌで贈るもの)

『・・・「いい子」の魔法』の主人公はエラ(コレがシンデレラ)。
エラは、有り難迷惑な妖精ルシンダの誕生の"贈り物"に、
「従順」を授けられた。
このせいで、エラは、どんなことでも、命令されれば従わなければならなくなってしまった。無理に逆らうと頭がガンガンし、眩暈がし、ふらふらしてしまう。
エラはルシンダに会って、この魔法を解いてもらおうと、ルシンダに会えるチャンスを探している。
お父さんは貿易商で、お金や対面が大事。
お母さんが病気で亡くなってしまうと、
エラの信頼できる人は料理人のマンディだけになってしまった。
でも、お母さんの葬儀のときに、シャーロット王子と友達になる。
やがて、お父さんは仕事に失敗し、
お金持ちのオレガ男爵夫人と再婚。
もちろん、ふたりの姉妹を連れて・・・

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『・・・「いい子」の魔法』、
すごく簡単にあらすじを書くと、シンデレラと同じになる。
違うのは、

シンデレラ(エラ)は「いい子」の魔法(従順になる魔法)のせいで、「いい子」だということ。

王子と、舞踏会以前から友達だということ。

そして、シンデレラに魔法をかけてくれる魔法使いが、「いつも見ていたのよ」とやってくるのではない、ということ。

この違いで、なんだかへんなの〜と思っているのが現代的に解決できるのです。

ミュージカル『シンデレラ』も
おとぎ話とは違うなぁ〜とは思ったけど。
継母、義理の姉妹がもっとボケていて、なんだか憎めない。
だからかなんなのか知らないけど、
シンデレラは相変わらず「私がノロマなのが悪いの」「不器用だからいけないの」と、
義理の母子を決して責めない。
「夢を見るのは悪いことじゃないじゃない?」と魔法使いを説得して、最後は舞踏会、結婚式、でジ・エンド。

実は私は、今まで、おとぎ話のシンデレラの性質には、そんなに違和感がなかったのです。
でも、ミュージカルを見て、違和感が広がりました。
「本当に義理の母子を嫌ってない」
それが、違和感。
今までは、それは、王子様の前だから悪口を言わないってことだと思っていたのです。
だって、相当頭の弱い子でなければ、あれこれ雑用をさせられて、不快感を持たないの方がおかしい。
結婚する相手に、そんな本心も打ち明けられないのか?と思ってたけど、まぁそれは時代か、と。言っちゃうバージョンのお話もあるし。
でも、それが心から嫌悪感を持っていないというなら、理解できなかった。

シンデレラが「いい子」過ぎる。

でも、「いい子」の魔法は、これを解決する。
「いい子」の魔法のせいでエラ(シンデレラ)は言うことを聞き、本当は反発したいと思うのに逆らえず、「いい子」の魔法に抵抗するために意志力を強めて強い女になる。
その強さに王子は惹かれる。

そして、シンデレラと王子は
舞踏会でちらっと会っただけで、一目惚れするっていうのも、
「なんなんだ、お前ら」と現代の感覚じゃ理解できないが、
前から友達だったら、わかる。

それから、魔法使い。
『・・・「いい子」の魔法』じゃ、魔法使いは突然出てきて、
都合よく願いをかなえてくれるんじゃなく、
エラはがんばって自分で舞踏会へ行くのです。
これはかなり現代的な、それもアメリカ的な脚色だと思いました。
ミュージカルの方では、シンデレラの夢を思う強さに負けて、魔法使いが願いをかなえてくれるけど、
その前に、「ホイホイ願いがかなっちゃ、魔法に頼っちゃうからねぇ〜」と魔法使いのセリフがある。

アメリカ的だ。

さすが「自分の努力で何でも叶う」のアメリカ。
と思いましたです。

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