ミニシアターものにハマることが多いので、
これはその中でも「大御所」としてずっと気にしてはいたのですが・・・

『きれいなおかあさん』(中国)(DVD、90分)

コン・リー演じるおかあさんは、
息子の鄭大("ジュンダイ"に聞こえました)を一人で育てている。
息子には耳に障害があり、補聴器が必要で、
なかなか上手に言葉の発音を覚えられず、
小学校の入学試験に落ち続け、小学3年生の年齢になったこの春も、また落ちてしまった。

鄭大が学校へ行くことは、
おかあさんの夢で、鄭大の夢だ。

おかあさんは、鄭大に自分で懸命に言葉を教え、
なるべく長く、息子に勉強を教えてあげる時間を取れるように、
工場勤めを辞め、パート仕事掛け持ちに変えてしまう。
そんな中で、鄭大は、補聴器のことをからかわれて喧嘩し、補聴器を壊してしまった。
高価な補聴器を、簡単に買うことはできない。

おかあさんは、一人で、
必死で働き、必死で息子に言葉を教え、学校に入れるように働きかける・・・
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障害を持った子どもを育てるお母さんの話は、
もうその設定だけで「感動もの」なので、
いっぱい割り引かなくてはいけないのですが。

でも、やっぱり、
お母さんのよろよろとした必死さには、
感情移入しちゃいますね〜

気丈に「自分だけで育ててみせる!」と離婚した夫に強がっておきながら、
本当は一人だけではツライ、と不安になってよろめく。

「耳がちょっと聞こえないなんて大したことない」といろんな人に一生懸命に話しながらも、
「耳が聞こえないのは、"普通"じゃない」「自分が悪いんだ・・・」と思っている自分がどこかにいて、
お母さんは、人に理解してもらうことで、その心の奥底にある声を打ち消そうとしているようで、
だからなおさら一生懸命になる。

そんな痛々しさと、
それでも希望を捨てないように、必死に明るく振舞う姿は、
もうどんな国でも、どんな経済状態の家でも、
共通に応援してしまいます。

不安をこらえて、
苦労を懸命にこなして、
「こんな息子のせいで・・・!」と思わないように鄭大に笑いかけるコン・リーは、
本当のお母さんのようで、素敵でした。

そういう母は、どんなにやつれていても、
「きれいなおかあさん」だと思えました。

(ま、「苦労してる手」に見えなかったけどさ。すごいきれいだったぞ!)

しかし、子育ては、
子どもに一喜一憂させられる点では、
たとえ障害がないどんな子でも、大変なんだろうな・・・。夜泣きとかさ・・・

「アイ・アム・サム」見てないけど、あれもこんなかなー・・・
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どうしても心が動いたのよ・・・な評価:8(上)
ストーリー自体はありがちだけど、この“お母さん”は、一見の価値ありでしょう。

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